たとえば、電話越しに。
話が違う。
こんなの理不尽だ。
とある会社と協働して進めていたプロジェクトで、
事件が起きていた。
先⽅企業が決めた⽅向転換の⽅針は想定外で、
てんやわんや、では済まない、
会社の運命を左右する重⼤な局⾯を迎えていた。
ここを踏ん張れば、何とかなる。未来も明るい。
でも、納得いかない。でも、やるしかない。
でも…
そんなループを腹の中でぐるぐる。
⼝に出したら、⼼が折れてしまいそうだから、誰も⼝に出さない。
きりきりと、皆が歯を⾷いしばる⾳が聞こえてきそうだった。
そんなときに、先⽅企業の担当者から電話がかかってきた。
「・・・・・・」
お互いに、しばらくの沈黙。
「・・・⼤変な状況だと思うんですけど。
でも、⼀緒に、頑張りましょう」
静かに、気持ちを押し殺すような声で、
電話の相⼿はそう⾔った。
想定外の⽅向転換を決めた会社の担当者が、
”⼤変な状況だと思うんですけど”と⾔った。
たぶん、勇気のいることだったんじゃないだろうか。
ハッと、このプロジェクトで実現したかったことを思い出した。