ある夏の暑い⽇だった。
商談から帰る途中。
外を少し歩いただけで、
むわっとした熱気にくらくらする。
たまらず目の前に現れたコンビニで
アイスコーヒーを調達することにした。
「いらっしゃいませ~」
ひんやりした空気を求めてか、
昼時でもないのに店内には客が多い。
既にレジを待つ客が2,3⼈並んでいる。

無事会計を終えて店から出ようとすると、
「ありがとうございました~」
レジとは別の⽅から声がした。
振り向くと、レジの最後部に並ぶ運送会社のお兄さんが、
帽⼦をとって軽く会釈している。
荷物を搬⼊に来て、
店員から受領証をもらうために待っているのだ。
お兄さんは、コンビニの店員ではない。
でも、お客様のお客様は、お客様、ということなのだろう。
外気の熱気とはちがう熱さが⼼にじゅわっと広がる。
今⽇もまた、機微⼒がひとの⼼に灯をともす。