出題範囲

サンプル問題

機微力検定の出題範囲は、情緒的コミュニケーション力、グローバル人材力、異文化理解力、多文化共生力と多岐に渡っています。実際の対人認知プロセスにおいては、知覚や感情や行動が複合的に絡み合っています。そのため、問題についても、受検者一人ひとりの各能力を各設問を通じて多面的に測定していく内容となっています。

問題文
X企業に勤めているAさんは、Y企業役員のBさんと打ち合わせをすることになった。最初の打ち合わせであり、AさんはBさんに好印象を持ってもらうため、打ち合わせ中はBさんの目を凝視しながら会話を行うよう努めた。
ところが、だんだんとBさんはよそよそしくなっていき、Aさんは内心、焦りはじめた。
設 問
この後、Aさんのまず第一にとるべき最善の行動を次から選びなさい。

本検定の特徴として、各ファクターの数値を精度良く抉り出すことのできる点が挙げられます。これらは、これまでの産学連携による実証実験(官能評価試験や行動観察等)において相関関係が認められており、関連学会でもその成果が報告されています。小手先のテスト対策や高得点を獲得するためのテクニックではどうすることもできない、多様な環境において状況を想像して瞬時に行動するための必要能力を、定量的に測定することが可能となっています。


出題範囲

領域 問われる範囲
A 機微力5要素+
コミュニケーション能力
感性の時代に求められる情緒的コミュニケーション力(5要素)と対人認知プロセスとしてのコミュニケーション能力
B グローバル⼈材
(知的資本)
「グローバルビジネスの理解」「複雑性の認知」「コスモポリタン的な思考」から成る、グローバル・レベルで通用するかを理解する能力、一般的な知識と学習能力
C グローバル⼈材
(心理的資本)
「多様性への情熱」「冒険心」「自信」から成る、新しい経験やアイデアの受容力、異文化に対する寛容さと変化への順応力
D グローバル⼈材
(社会的資本)
「異文化への共感」「対人影響力」「外交的手腕」から成る、自分とは異なる人々との間に信頼関係を築く力
E 異⽂化理解 「他文化理解」「自己相対化」から成る、各国の価値観や行動様式への理解力、および、自文化の内容を客観的に見つめる力
F 多⽂化共⽣ 対話を心掛けて偏見が何に基づいているのかを冷静に分析する力、および、固定観念をとらえ直す力

機微力5要素

機微力5要素は、対人認知プロセスにおける「相手を知り、自らが柔軟に変化して、一つひとつ相手へと丁寧に受け渡していく」ために欠かすことのできない、情緒的コミュニケーション力のファクターとなります。相手の信頼を獲得するビジネスパーソンに共通して見られる行動特性を、マインドセットの側面から解き明かし、分解することによって抽出・導出されたファクターが、機微力5要素となります。他にも数多あるマインドセットおよびスキルセットに関する各ファクターの中から、人事担当者、HR領域の学者、精神科医等との対話を重ね、抜け漏れなく、かつ、ミニマルで煩雑化を避けた最終形態が本5要素となります。補足になりますが、機微力5要素は決して排他的思想に基づいたファクター抽出ではありません。時代や環境の変化に迅速かつ柔軟に対応しながら、他の能力やファクターとの間で横断的ジョイントが行える設計思想に基づいています。
2013年、山本らによって当時考案された本モデルは、狭義の意味でのOne-wayモデルとして、アフェクティブ要素としての「気持ち察し力」「共感力」「柔軟性」、コグニティブ要素としての「状況想像力」「リアクション力」として定義、広義の意味でのTwo-wayモデルとして、能動的関与としての「共感力」「柔軟性」「リアクション力」を包括するものでした。その後、日本経営協会および東京工科大学との協働によって、本測定モデルの商品化および機微力育成ラーニングメソッドの商品化が行われました。それ以来今日にかけ、継続的なHR領域の皆様、経営者の皆様との議論を通じて、人材育成に貢献するためのフレームワーク化が図られています。
2013年当時は主に日本国内における若手人材育成のキーファクターとして定義されていたものの、昨今機微力はグローバル人材としても必要不可欠な力であることが、グローバル企業との協働を通じて明らかとなってまいりました。そのような背景から東京大学IHSとの産学連携をスタートした飯島らは、グローバル人材関連ファクターおよび異文化理解・多文化共生に関する各ファクターを補完する形での、計18ファクターによる定量化手法および能力測定モデルを発見・導出することに成功いたしました。

参考文献

コミュニケーション能力の構造に対する認識の相違 ―企業と大学生によるコミュニケーション能力評価の結果をもとに―
Perception gaps between business people and university students regarding what constitutes communication competence
Kayoko Machida
「察する」とは何か、その発話解釈のメカニズムを探る ―関連性理論からの試み―
Chika Hayashi
「空気」に関する論考 II ―日本文化を規定するモノ―
On Japanese “Mood” II ― What makes Japanese Culture to be Japanese Culture ―
Emura Hirofumi
「遠慮・察しコミュニケーション尺度」の作成 ―予備調査による尺度の改訂―
「遠慮・察しコミュニケーション尺度」の作成 ―予備調査による尺度の改訂― Developing a Japanese Enryo-Sasshi Communication Scale:Revising a Trial Version of a Scale Based on Results of a Pilot Survey
Koyama Shinji and Ikeda Yutaka
多文化関係における日本的コミュニケーションの可能性 ―「察し」に内蔵された肯定的側面―
「遠慮・察しコミュニケーション尺度」の作成 ―予備調査による尺度の改訂―
Taketo Ishiguro
文化的差異の経験の認知異文化感受性発達モデルに基づく日本的観点からの記述
Perception of Experiencing Cultural Difference:A Description from the Japanese Perspective based on the Developmental Model of lntercultural Sensitivity
Shizu Yamamoto
異文化環境に適応する人材に求められるもの ―日中合弁企業における社員研修の事例から―
A Study of Emproyees Adaptable to an Intercultural Environment: ExaminedThrough a Case Study of Staff Training in a Chinese-Japanese Joint Venture
Kazuyo Mozumi

参考書籍

異文化理解力

相手と自分の真意がわかる
ビジネスパーソン必須の教養

著 エリン・メイヤー
監修:田岡恵 訳者:樋口武志

多文化世界

違いを学び未来への道を探る

著:G.ホフステード、G.J.
ホフステード、M. ミンコフ
訳者:岩井 八郎、岩井 紀子

深層文化

異文化理解の真の課題とは
何か

著:ジョセフ・ショールズ
訳者:鳥飼 玖美子、
長沼 美香子

異文化理解の語用論

理論と実践

著:Helen Spencer‐Oatey
監修:浅羽 亮一
訳者:田中 典子 他4名